黒湯山 登山レポート

~ 西暦2007年に標高2,007mの山に登る ~

国土地理院ホームページ『2007年新春スペシャル』
http://www.gsi.go.jp/WNEW/LATEST/2007/2007main.htm

によると、標高2007メートルの三角点が設置されている山は1カ所で、群馬県嬬恋村万座温泉の黒湯山だけだという。何ィ、黒湯山?昔万座スタッフだったピークハンターの金子さんは、2度と登りたくない山の筆頭に黒湯山を掲げていた。あのチシマザサの笹薮を登れるのか?・・・というか、私も別に辛い登山などしたくはない。登山は奥山の自然景観、空気や水や生態系を味わい楽しむために行くものだ。地球を大好きになって自分が癒されるために行くのが私の山歩きスタイル。

聞くところによると(実は参加したところによると)嬬恋村観光商工課、嬬恋村インタープリター会、万座温泉観光協会、長野県の山の会が集まり、荒れた登山道を少し整備したらしい。

果たしてお客様にご案内できる登山道なのか?そんなことでネイチャー木村が登山レポートいたします。

実踏日:2007年6月13日(水) 天気:晴れのちくもり時々雨

    

まだ芽吹きはこれからという6月中旬の万座の原生林。万座温泉ホテルから、牧干俣線を10分くらい車で走ると黒湯山が見える。万座峠の1kmくらい先。黒湯山登山道の良いところは、登山口に駐車場があるところ。これはありがたい!!!

    

この場所は前から山崩れの跡が荒々しくも美しいと思っていた場所。夏には、この場所でバーベキューでもやりたいところだ。片側が崖のところを登っていくがさほど危なくはない。この右下の谷が紅葉で名高い松川渓谷。少し登るとすぐにチシマザサの繁る尾根に出る。

    

しばらくは、周りが見えないほど繁ったチシマザサ帯が続く。今年整備する前に、誰かがひどい笹刈りの仕方をしたらしく、危険な高さの位置にチシマザサの槍が突き出る。・・・これはお客様をご案内すべきか?かなり戸惑いを感じる・・・。途中、木々の合間から見える松川渓谷の断崖と志賀高原の山々の景観が奥山を思わせる。

    

途中、急な上り坂もあった。こういった時に、ゴム付きの軍手でもあると非常に良い。転んだ時にも怪我をしにくいので、できれば装着しておいてほしい。シラビソの並木道が少し続く。

    

樹の洞をのぞくとヒカリゴケのようなものがあったが、まだ光っていなかった。レンズ体ができるまでもう少し時間がかかるのだろう。アズマシャクナゲの花粉をせっせと運んでいたのは何というハチだったのか。そして、いよいよ視界も開けてくる。

    

下から見ると凹んでいたような地形の所がここなのだろう。途中は人がすれ違うのも難しい道なので、こう開けていると少しほっとした気分になる。せっかくのいい場所なので、ここでお茶くらいはしたいものだ。ここはチシマザサではない、背の低い別の種類の笹に覆われていた。

    

そしていよいよ最後の登りとなる。植生はまたチシマザサとなる。道のない頃登った金子さんのなんと勇猛なことか!山頂付近の絶壁にはアズマシャクナゲのまとまった群落がある。望遠カメラでここの撮影もなかなか乙だと思う。道中、ずっとさえずっていたルリビタキがカメラの前に現れてくれた。脇腹の黄色と丸いお目めがなんとも可愛らしい。

    

そして山頂へ。ここまで自然観察しながら、普通に登って約1時間。ここも以前は笹が繁っていたのだが、今回綺麗に刈ってくれたので、バス1台くらいの人数なら軽く弁当は食べられるようになった。かつてはどこが山頂なのかとても解らなかったという。さんざん看板が掲げてあるのはそのためなのだろう。山頂では、ちょうどミネザクラが花の時期だった。

    

今日はアズマシャクナゲの花が良かった。きちんと確認していないが、登山道沿いではハクサンシャクナゲはほとんどなかったように思う。帰り道は、余裕があるので奥山の景観を楽しみながら下りてくることになる。

    

登りの際に非常に急だった場所は、もちろん帰り道でも要注意。景色に気を取られていないで気をつけて!登山口付近に下りてきて目立つ正面のピラミダルな山は1,994mの万座山。


■ 黒湯山を登っての感想

やはりこのルートは、まだ仮整備の段階なので(2007年6月現在)、登山道沿いに笹の切り口が目立ち、怪我をする可能性が高い。できれば以下のように用意してほしい。

しかし、2,007mの三角点のある山は日本全国でこの山だけなので、万座から車で10分の立地で、駐車場まであるこのルートを登らない手はないと思う。軽く2,007mやって万座で入浴して帰る・・・くらいの事はできます。自然観察しながらで山頂まで1時間なのだから、笹の切り口等の安全対策さえすれば、急な場所はあるとしても初心者コースの道。・・・結論としては、ぜひチャレンジしてみてください!


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