Sorry, your browser doesn't support Java(tm). 6月に入り、ようやく残雪が姿を消した頃、万座全体を覆うチシマザサやクマザサが一斉に新芽を伸ばし、森の色が一気に鮮やかになります。チシマザサは別名ネマガリタケとも言い、この竹の子は味良し歯ごたえ良しで、当館の夕食のメニューや売店の名物として大活躍しております。また先代の頃、このタケでステッキを作って販売した事もあったそうです。クマザサは消毒・解毒・防腐効果が高く、北陸の鱒寿しや信州の笹ちまきなどはその効果を利用した昔の人の知恵なのです。
さて、人間以外にこの効果を大いに利用しているのはどんな動物でしょうか?

足跡はこんな風です。もうお分かりですね、正解はツキノワグマです。ツキノワグマは冬眠中糞をしないため、えさと一緒に大量のクマザサを食べ、身体に毒が回らないようにするのです。ちなみにツキノワグマはチシマザサの竹の子も大好物です。そして国立公園内では植物の採取が禁じられています。竹の子狩りは熊と警察が恐くない人だけにしてください。

これは熊棚といって、熊がミズナラの実、ドングリを食べた跡です。熊は周りの枝をボキボキと折って口にドングリを運び集め、食べ終わった後は自分のお尻の下に枝をひいていくのです。こんな食事の跡が森にはたくさんあります。

これは70年に一度と言われる笹の花です。しかし万座温泉は見渡す限りの笹に覆われているので、気をつけて山歩きをすると比較的簡単に先端から稲穂に似た笹の花を見つけることができます。笹はイネ科なので、秋には充実し米のように精米して食べることが出来ます。昔は笹の花は飢饉の兆しとされ、その年は笹の実で飢えを凌ぐ程の凶作となったそうです。最近では戦後食料不足の頃に万座山が一斉に開花し、多くの人々を救ったと言われています。写真は一斉開花ではなくたびたびある部分開花のものです。万座山の次の一斉開花はいつ来るのでしょうか。

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