(社)全国森林レクリエーション協会とは、昭和62年に農林水産省の認可を受け設立された公益法人です。この協会は、森林資源の有効活用、森林の環境保全等との調和の観点に立って、森林のレクリエーション利用の促進と林業経営の活性化に寄与することにより、地域社会の発展に資することを目的としています。また、平成3年から「森林インストラクター資格認定事業」(毎年一回)を開始し、多くの有資格者が誕生し、全国各地で活動しています。
森林インストラクターはそれだけで職業として成立しているものではありませんが、バードウォッチング、植物観察、キノコ狩りといった手軽なものからキャンプや登山、間伐や枝打ちのような林業体験までを提供する人材です。地方自治体や省庁主催の自然ガイドは信頼ある森林インストラクターに依頼することが多いようです。
私が森林インストラクターを目指したきっかけは、2003年8月に六合村(群馬県吾妻郡)の自然観察会に参加した際、草津の森林インストラクター・湯田六男さん(林野庁吾妻森林管理所勤務)と出会いでした。湯田さんのインタープリテーションは知識を押しつけるものではなく、参加者の感性を引き出すものであり、また自然については詳しく調べ上げておきながらその解説は一部にとどめて置く上手さがありました。また、氏は実際に私がガイド時に使用している西吾妻の多数の自然解説本の著者でもあり、頼りになる師匠です。 |
湯田六男氏 |
単純なことですがヤマブキショウマの雌花・雄花の違いも湯田さんから教えてもらいました。(中が雄花・右が雌花。右には種子がつく) |
森林インストラクター資格試験の出題範囲は幅広く、「森林」「林業」「森林内の野外活動」「安全及び教育」の4科目からなります。また、記述式の問題が多く、「300字以内で説明せよ」「要点を箇条書きで書きなさい」というものが見られます。限られた時間に要領よくまとめ上げることは容易ではありません。様々な野外体験活動の経験の他、文章を書く訓練も必要でしょう。しかし合格した科目をその年を含む3年間有効とされていますので、2〜3年かけて、じっくりと腰をすえて取り組むと良いでしょう。
一次試験に合格した後、面接と実技の二次試験があります。お勧めは、実技試験が免除となる講習会(国内数箇所で年数回開催)に参加し、それで資格を目指すか検討すると良いでしょう。
【参考図書】 平成16年1月時
図書名
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出版社及び著書
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金額
(税別) |
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森林・林業白書〈平成18年版〉国民全体で支える森林 |
政府刊行物センター
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森との共生―持続可能な社会のために | 丸善(株) | 藤森隆郎 |
¥780
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森林の百科事典 | 丸善(株) | 藤森隆郎共著 |
¥18,540
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タネはどこからきたか? | 山と渓谷社 | 鷲谷いづみ |
¥1,600
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森林インストラクター―森の動物・昆虫学のすすめ | 八坂書房 | 西口親雄 |
¥2,000
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日本のきのこ |
(株)山と渓谷社
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¥4,495
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レクリエーション入門 |
日本レクリエーション協会
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¥1,941
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日本型環境教育の提案 | 小学館 | (社)日本環境教育フォーラム |
¥2,600
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野外活動指導者養成 専門共通科目テキスト | 杏林書院 | 日レク協ほか |
¥2,800
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キャンプテキスト | 杏林書院 | 日本野外教育研究所 |
¥2,600
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野外活動テキスト―アウトドアライフのすすめ | 杏林書院 | 日本野外教育研究所 |
¥1,500
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自然体験活動指導者手帳 | 山と渓谷社 | CONE |
¥667
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自然学校をつくろう―あなたも自然体験活動のリーダーになれる | 山と渓谷社 | 岡島成行 |
¥1,200
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街の自然観察 | 筑摩書房 | 矢野亮 |
¥1,100
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森林と日本人―森の心に迫る | 小学館 | 北村昌美 |
¥4,660
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森林はなぜ必要か | 小峰書店 | 只木良也 |
¥1,200
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森林環境科学 | 朝倉書店 | 只木良也 |
¥3,500
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森と人間の文化史 | 日本放送出版 | 只木良也 |
¥825
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ことわざの生態学―森・人・環境考 | 丸善(株) | 只木良也 |
¥1,748
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多様な森林の育成と管理 | 東京農業大学出版会 | 河原輝彦 |
¥1,800
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私たちの森林 |
日本林業技術協会
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¥971
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森林インストラクター入門 |
全国林業改良普及協会
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¥4,000
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森林インストラクター養成講習教科書選集(講習テキストから) |
(社)全国森林レクリエーション協会
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¥3,540
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森林インストラクター資格試験問題例集(第8集) |
(有)緑水総合研究所
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¥2,320
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※上記は森林インストラクター資格試験問題例集(第8集)によるものです。ネイチャー赤木が読んだ本はこちら
また、ぐんま森林インストラクター会(田中洋助会長)では、月に数回、一般の方々と森林との距離を近くすることを目的とした、さまざまなイベントを開催しています。その内容は森の見方や仕組みを理解でき知的欲求を満たすようなものであったり、森の神秘さや人体への効果を検証するものであったり、森林内で行う自然体験活動の意義や目的を見出すものであったりします。
近年、日本の森林は手入れが行き届いておらず、荒廃しているといいます。それでも、やはり森に入ると、足元の山野草は美しい天然の色彩で私たちを和ませてくれますし、樹齢数百年もの大木からは生命力の凄まじさを感じ、その複雑な樹形は見ているだけで私たちを謙虚にさせてくれます。自然の中で謙虚になることのすばらしいことは、それが恐れや自分を卑下することによるものではなく、わずか100年足らずの命の人間のスパンよりもはるかに長い、樹木や土壌の数百年もしくはそれ以上の単位で森林の変遷を感じているということであり、地球の循環サイクルの一部であることを感じているということ、いわば感謝と一体感に満ち溢れた謙虚さであるということです。
そのほか、日本の森は同緯度・同面積の他国に比べて文句なく生物多様性に秀でており、それは私たち日本人の心の豊かさに直結しているのだと気づくでしょう。たくさんの野鳥のさえずりは心を癒してくれますし、松や檜の香り(フィトンチッド)がするところでは、人の疲労回復が早まり、身体生理機能が向上することが解っています。
このように森林の公益的機能を上げればキリがありませんが、こんな森林の機能や効果を本当に体感し理解するには、森林インストラクターと森を歩くのがベストです。皆さんも、ぐんま森林インストラクター会の主催するイベントにぜひご参加ください。また、「我こそが森の父だ」と思う方もそこまでは思わない方もぜひ、私たちの会に入会し試験にチャレンジしてみてください。楽しんで受け続けることができる資格です。
ネイチャー赤木とそのゆかいな大先輩たち?が皆様をお待ちしております。
(2006年2月)