理事長あいさつ
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浅間・吾妻エコツーリズム協会のホームページへお立ち寄りくださいまして誠にありがとうございます。理事長の赤木道紘と申します。よろしくお願いいたします。
私は浅間山北麓の嬬恋村に住んで16年経ちましたが、元々は北海道生まれで、かなり田舎のほう、原生林の近くで育ちました。
小学校への通い道では大きな黒いキツツキ(クマゲラ)が樹木をつついている音、そして独特の鳴き声がこだましています。 トトトトトトト…、キィー、キィー…
夜は森から得体の知れぬもののけの声(恐らくあれは、ぬえ〔トラツグミ〕の仕業でしょう)が聞こえてきます。 ヒョォ~キュゥ~コゥォ~…
剣道を学んでいた私は帰りが夜中になることもしばしば。夜のお墓の中を通る時はドキドキ。でも、その後の牧草地ではお月さまがやさしく私を照らしてくれました。月が出ていない時は満天の星空が出迎えてくれます。隣り近所も疎らだった田舎では天の川がよく見えていましたが、そんなことを教えてくれる大人も周りにはいなく、「なかなか動かない雲があるなあ」と思ったものです。オリオン座はいつ観ても格好良かったですし、ひしゃく星の隣のこぐま座は、私だけが知っているとっておきのひしゃく星でした。
何から何までドラマチックだった、家を出た外に広がる世界。春にはホオノキが大きな白い花をつけて、あたりいっぱいに香りを放ちます。花が散り、葉桜となったサクラの樹の下には、小さなサクラの稚樹がたくさん芽吹いています。トドマツの深い緑の森の林床には、はだ色の不思議なきのこがたくさん出ていました。ところが忙しい大人たちにとっては、あまり興味が無いようでした。
やがて私も大人になり、一時は、自然は自分とはまるで無関係であるかのような暮らしを送っていたこともありました。その後、1995年阪神・淡路大震災、2001年アメリカ同時多発テロなどの私たちのライフスタイルやアイデンティティを考えさせられるような事件が起き、また、私も万座温泉で大変な水害を経験しました。その時に「私たちがもっと自然の声が聞こえるようであったなら、こんなことにはならなかった。」と、とても残念がったものでした。
そして2011年、日本は東日本大震災という大変な災害が起きました。都市を直撃した津波は人間が作ったあらゆるものを破壊し、計り知れない自然の猛威を見せつけることになりました。亡くなられた方々のご冥福と、被災者の方々の復興を心よりお祈り申し上げます。そしてこの災害を教訓に、私たちは長い間「自然」を客観的な対象の「物」と見なしてきたことを改め、かつての「自ずから然り」という自然感、造化(天地自然または神)の成す理(ことわり)に従い、四季の変化に身をゆだね、今を歓び生きるという、日本人の本来的な生き方に帰るべきではないでしょうか。
お子様がいらっしゃるお父さま、お母さま。街角で香りの強い花があれば子供と一緒に嗅いでみてください。裏山で不思議なきのこを見つけたら図鑑で調べてみてください。もしかしたら美味しいきのこかもしれません。土手の桜並木の下に赤ちゃんサクラがいたら、根を傷つけないように取り出してやり、もう少し日の当る所に出してあげるのもいいでしょう。旅行先では、夕食の後にご家族で星を眺めてみましょう。本来の星座の形を知らなくたって構いません。ご家族で気にいった星々を繋いで夜空に絵を描いてみましょう。そして来年の同じ日、同じ時間にもう一度夜空を見上げて、同じ絵を描くことができたらとても素敵なことですね。きっと古代の人たちも、そうやって星を眺めていたのでしょう。
私たちの自然感覚を本来のものに戻すためには、「自然」を自分の外側にある別のものとしてとらえるのではなく、「“天地自然”の中で、“大いなるこころ”に護られている」と、とらえるのが良いでしょう。幸いなことに、浅間山麓・吾妻地域には雄大な浅間山はもとより、草津・万座の霊験あらたかな温泉や巨木の森、美しい高山植物や湿原の数々、吾妻渓谷など、自然感を取り戻すには豊富な要素であふれています。また森の中や草原で行うヨガやノルディックウオークは心身のバランスや体調を整えてくれますし、かつての養蚕農家や宿場町には今も古民家が残っており、里山風景に心が安らぎます。そして旅先ではフットワークも軽くなります。MTBや釣り、沢歩き体験など、新しいことにチャレンジなさってみてはいかがでしょうか。
私たちは、エコツアーや自然体験などによって皆様方が「本来の自然感を取り戻す、もしくは自然と深くシンクロする」のをお手伝いさせていただきます。これからの世代の方々がつくって行く新しい社会は、「地球の声が聞こえる人、天地自然の思いがわかる人」達によって築かれてほしいと思っています。エコツーリズムとそれに関わる人達には、みんなが幸せになれる持続可能な社会を築くための、重要な役割を持っているのです。
皆様の心と体を本来のバランスに取り戻すため、そしてまだ見ぬ新しい世界への好奇心を満足させるためにも、浅間山麓・吾妻フィールドを、ぜひ私たちにご案内させてください。皆様のお越しをお待ち申し上げております。
2011年5月14日 浅間・吾妻エコツーリズム協会
理事長 赤木道紘
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